「ルーカス。獣人ならば、匂いで足取りを追うことは可能か?」

「ああ、おそらくできるはずだ」

「ならば、グリージアとサンミリガンの国交正常化を模索するとして、サンミリガンの王子一行をグリージアに招待しよう。安心しろ。マージュミアルとは日程が被らないようにする」


こういう次々と的確な判断を下す姿は、王太子アルフレッドらしい。この人は、こんな森の奥の古びた宿屋でボヤボヤしていていい人なんかじゃない。

「早速、メンバーを選定して、明日までには決定しよう」




こうして、数時間のうちに作戦はまとまった。
ジンには、情報が入り次第逐一報告するとして、一旦帰宅してもらった。


ふと気付けば、ドリーの姿が見当たらない。接客を任せていたチェリーに聞くと、用ができたから少し出ると、外へ行ったようだ。


そして、やんごとなきお2人はというと……