婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「と、とにかく、獣人であるギムの拘束は、魔女の香草が絡んでいる可能性が高い。取り返しのつかないことになる前に、手を打たないと」

アルフレッドとルーカスは、普段の言い合いが嘘のように、真剣に作戦を練り始めた。


なんの証拠もないままカニンガム家を訪れても、かえって警戒心を高めてしまうだけ。

アルフレッドによると、レナードは夜遊びこそ激しいものの、決まった相手はおらず、もちろん独身らしい。
カニンガム侯爵邸で暮らしているって言うけど……

でも、ちょっと待って。


「あの、さっき見たレナードのいた家だけど、部屋の窓の外に赤い実のなる木が見えていたわ。カニンガム侯爵邸に、そのような木はありますか?」


セシリアであれば、あの屋敷の敷地内に実のなる木がないことは知っている。
私の正体がバレバレだったたしても、あくまで他人のフリを通す私に、アルフレッドがくすりと笑った。


「いや。なかったはずだ。セシリアなら知っていることだな。なあ、ライラ」


この人、わざと煽るような言い方をしてる。ここに来るようになって以来、人格が変わりすぎだわ。