婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「ジャレットと俺がここに保護された時、実はマージュミアルへ赴いて調査をしていたんだ」


なるほど。
普段は避けている魔女に近付いたのなら、なんらかの揉め事でもあったのかもしれない。

あれ?
でも……


「ルーカスは、翌朝ここを訪れたんじゃなかった?」

「うっ……ま、まあ、そこはよいとして……」

ん?なんだろう、この狼狽えた感じは。
怪しい。

怪しすぎるけれど……とりあえず、今はギムのことだ。


「そこで、その香草は実在し、人間が関わっていることも掴んだ。しかし、魔女達に気付かれて……」

「とりあえず引き返すことにしたのね?」

「あ、ああ……」

「ジャレットの怪我は、魔女によるものだったの?」

「え、ええ……しかし、私のはまだマシな方でして……」

なんだろう?この歯切れの悪さ。
まるで、主人の機嫌を窺うように、ジャレットがルーカスに視線を向けた。

ルーカスは、苦虫を噛んだかのように、顔を歪めている。