婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

魔女は、人間よりも獣人の男性を好むという話を聞いたことがある。
けれど、獣人からしてみれば、魔女なんてとんでもない相手だと思っていたはず。


「なんらかの方法で、レナードがその香草を手に入れた……ありえない話ではないな」


アルフレッドの推察に、ルーカスが頷いた。


「我が国内で、若い男の獣人の失踪が、何件か発生している。まだ公にはされていないが、俺が密かに調査をしていた。
獣人は、自ら魔女に近付こうとはしない。魔女の方も、国外に出れば力が弱まるから、自ら国外へ出てまで、獣人を捕まえに来ようとはしないだろう。
失踪した獣人の足取りを辿ったら、どうやら人間を介してマージュミアルに連れて行かれているようなんだ」


それが本当だとしたら、人間による獣人に対するとんでもない裏切り行為だ。
しかも、グリージアの人間が関わっていたとなれば、ますます国家間の関係を悪くしかねない。