婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「できれば、耳に入れたくない情報だが……とくに、人間。しかも、王族なんてもってのほかだが……」

「ルーカス、一人の命がかかった重要な問題だろ?正直、ルーカスのことは好かんが、命のためとあらば話は別だ。耳にしても、今回のこと以外で悪用したり、それでサンミリガンをゆすったり、卑怯な真似は絶対にしない。
それは、私のこの剣にかけて誓おう」


さらりと立ち上がったアルフレッドは、鞘ごと剣を手にすると、ルーカスに向けて掲げた。
優れた剣士でもあるアルフレッドにとって、これは命をかけても約束を違えないと誓ったも同然。

その真剣な眼差しに、ルーカスも彼を信じたのだろう。一つ頷くと、再び重々しい口を開いた。


「マージュミアル……サンミリガンとグリージアの北部で接するかの国は知ってるな?」

「ああ、もちろん」


マージュミアル。
訪れたことはないけれど、魔女の暮らす国だということぐらいは、私も知っている。