婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「聞くまでもありませんが、ギムも、もちろん獣人なんですよね……」

「もちろんです」

「人間より身体能力の優れた獣人が、そう簡単に人間に捕まりますか？」

「なんとも言えませんが……たとえば、なにか脅されたとか？」


脅された、かあ……

手元にある情報を基に、各々が推察をしていく。

力ずくなら、獣人の方が優れているはずなのに、ギムは囚われている。
わざと囚われて、相手が弱みを見せるのを待っている？

いや。
身重の妻に心配をかけてまですることじゃない。番をなにより大切にする獣人には、ありえないことだろう。


それじゃあ、なんらかの形で力を封じられてる？
そんなことができるものなのか、ルーカスに尋ねようと視線を向けたところ、彼の方から先に、慎重な様子で口を開いた。