婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「なに、これ……」

麗かな春の昼下がり。
何気なく見つめたていた水晶が映し出したのは、数年経ったであろう自分の姿だった。

綺麗に着飾った私の手を取るのは、この国の王太子、アルフレッド・グリージアだった。

私を見つめる彼の瞳はどこまでも甘く、彼を見つめ返す私の瞳もまた同じだった。


そのまま水晶を見つめていると、映し出される映像から、どうやら私は殿下の婚約者であろうことに気が付いた。
しかも、この様子からすると、お互いに想い合って。


アルフレッドのお相手ということは、将来のグリージア王国の王妃、つまり国母になるということだ。

そんな大役が、私に務まるとは思えない。嬉しさよりも恐怖心の方が大きかった。


けれど、水晶が見せる未来の私は、幸せそのものの顔をしている。アルフレッドがそれほどまでに私のことを想い、大切にしてくれているのだろう。

避けられない未来ならば、殿下を信じてその流れに身を任せるしかないと、未来のその様子を受け入れた。