婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「赤毛の男性……ライラが知っているということは、貴族か騎士かだろうな」


確かに,その可能性が高い。
王都に住む貴族令嬢が顔を合わせる男性なんて、限られているから。


「赤毛……カニンガム家か……」

「あっ」


そうだ。
ヴァネッサ・カニンガムには、確か同じような赤毛の兄がいたはず。彼女より5、6歳ほど上で……

思い起こしていけば、さっき水晶の中に見えた男と、ヴァネッサの容姿がどうにも似ているように思えてくる。

顔を合わせたのは夜会で数回ほどだけど……うん。あの赤毛は……


「レナード・カニンガム」


思わず呟くと、正解だと言わんがばかりに、アルフレッドが満足そうに頷いた。


「セシリアなら、知っているはずだ」

しまった。
つい反応してしまったけれど、認めるわけにはいかない。

「どこにでもありそうな名前よね」