婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「落ち着け。私はグリージア王国の王太子、アルフレッド・グリージアだ。話を聞こう」

あっさりと身分を明かしたアルフレッドに、ジンがギョッとする。

「えっ……なっ……」

さすがにジンもこれには驚いたようで、狼狽出した。


「ついでに言えば、俺はサンミリガン王国の第一王子、ルーカス・サンミリガンだ」

「は?」


ルーカスがサンミリガンの第一王子?
いやいやいや。そんな身分の人が、国外のこんな辺鄙な所に頻繁に来るものなの?

ていうか、チェリーやジンなら知ってたんじゃないの?

疑問の目を2人に向けると、2人ともふるふると首を横に振った。


「私、これまでずっと国境近くの田舎町にいたんだもん。ルーカスって名前は知ってたけど、王様の顔だって怪しいのに、その王子の顔までは知らないよ」

「す、すみません。私も……」

珍しく長いフレーズを話すチェリーに続いたジン。
獣人の国って……意外とおおらかなのね。

ドンマイ、ルーカス。