「カエル……」


ここに……この容器にいないということは、当然容器の外に出たということで……

おそらく、自分の意思で飛び出したのだろう。

飛び出したカエルは、この部屋の中に……いる?
もしくは、すでに部屋を飛び出して、建物内をうろついてるの?


「ライラ」

「ひぃ」


最悪の事態を考えていたタイミングで突然声をかけられ、おまけに肩に手を添えられたものだから、驚きと恐怖から情けない声が出てしまう。
振り返ると、呼びかけたルーカスが、何かを窺うようにこちらを見ていた。

「どうかしたのか?」

「あ、あの……え、えっと……」

ちらりと容器に視線を向ける。

「ん?」

「こ、この中に、カ、カ、カエルなんていませんでしたか?」

一瞬、ルーカスが眉間に皺を寄せた。