「朝食をお持ちしました」

食事を渡してすぐにもどる気でいたけれど、不意にルーカスに呼び止められた。


「もうしばらく……少なくとも、2人とももう一泊は泊まりたい」

「かまいませんよ」


この宿が満室になったことは、私が来てから一度だってない。だから、一泊どころかもう数泊でも大丈夫だろう。
やたら熱く見つめてくるルーカスの視線が気になりつつ、今夜の予約状況が今のところないことを頭の中で確認していた。



「それでしたら、もう一部屋ご用意しましょうか?」

さすがに、大人の男性2人が一部屋では手狭だろう。

「いや、いい。ここだけで大丈夫だ。ジャレットの様子も気になるからな」


もうすっかり大丈夫そうだけど?とは思ったけれど、本人がそう言うのならこれでよいのだろう。