婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「ねえ、ドリー」

「なんだい」

「ジャレットがオオカミの獣人なら、ルーカスもそうなの?」

「かもね」

肯定はしつつ、クツクツと笑うドリーを横目に見る。
〝かもね〟って、ドリーなら本来の姿がわかるはずなのに。本当のことを教えるつもりはないようだ。


「グノーなら、ジャレットがオオカミだとはじめから気が付いておっただろうけど、なんせ、あの子は壊滅的に言葉が足りん」

まったくもって、その通りだと思う。
けれど、グノーは決して悪い子ではない。



「ライラ、ん」

どうやら、グノーはすっかり私に気を許してくれたようで、昨夜から普通に姿を見せてくれる。
やっぱり言葉数は少ないけれど。

グノーの手元を見ると、今の〝ん〟は、ルーカスとジャレットとの朝食が用意できたから運んで、ということのようだ。