婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

* * *

「ルーカス様、どうかされましたか?」


ライラと名乗った女性の姿はもう見えないというのに、入り口から視線を外さないでいるルーカスに、ジャレットがいぶかしげな視線を向けた。


「ルーカス様?」


「あ、ああ……」


一瞬、ちらりとこちらを向いたものの、すぐにドアへ視線をもどしてしまう。

その、ちらちと見た主人の瞳に、ジャレットがハッとした。


「ま、まさか……」



「見つけた…………俺の番」