婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

ぶるるんと、突然頭を震わせたジャレットに、ビクッと肩が跳ねた。


「気が付いたか、ジャレット」

「……ル、ルーカス様……」

「ああ、俺だ」


言葉遣いに、2人の関係性がなんとなく見てとれる。


「大丈夫か、ジャレット」

「ええ、なんとか。ルーカス様は?」

「おまえのおかげで、この通りピンピンしている。悪かったな、怪我をさせてしまって」


体を起こそうとするジャレットを押しとどめながら、ルーカスがジャレットの状態を確認していく。


「背中の打撲は……大丈夫そうだな。頭の方は、少し腫れてるな。しばらくは動かない方がいい」

「あ、あの、なにか冷やすものをお持ちしますね」


初めて目にする大型の肉食種族の獣人に驚きつつ、それでもできることはらやないとと、返事を聞かないまま部屋を出た。