溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。


行き場がなくなった私の泡だらけの手は、なすすべもなく宙に浮かせたまま。


どうしよう。このまま洗ってもらっていいのかな。


それにしてもこの態勢。洗いにくいよね。だからって、覆われている私は動けない。


「乃愛、あったかくて気持ちいい」


お皿を洗い終えた凪くんの手が、私の手を包む。


泡だらけの手と手が混じりあって、ぎゅっと握られる。


「……んっ……」


素手で触れられる時よりも密着度が増した気がして、私の胸の真ん中を甘く激しく揺さぶる。


「なんかその声エロい」


「……っ」


手の甲に重なる凪くんの手。そこから割るように指をぎゅっと絡められた瞬間、首筋にキスされた。