溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。


どうしよう。


私は凪くんが好き。だから小林くんとはつき合えないけど。


こんなとき、なんて言ったらいいいの?


初めての経験に、あたふたしちゃってなにも言葉が出てこない。


萌花ちゃん! 心の中で助けを求めたとき。


「乃愛!」


焦ったように私を呼ぶ声が聞こえた。


誰かが助けに来てくれた──救いを求めるようにすがった目線の先にいたのは。


「な、凪くんっ!?」


息を切らした凪くんが、そこに立っていた。


どうして凪くんがここに!?


「新城!?」


小林くんも、凪くんの登場に目を丸くしている。


「乃愛、行くよ」


凪くんが、私の腕をつかんだ。