【side 奏】

「莉乃、口開けて」

「……」

「莉乃。ほら」

「……」

 莉乃は口を開けないので、無理矢理頬を片手で挟んで自然と口を開けさせる。

 口の中に薬を入れて、飲み込ませた。

「うっ……あ、れ……?」

 ……瞳の色が戻った。

「ふふっ、莉乃。よかったよ。」

「私……なにかあった……?」

「ううん。なにもない」

「そっかぁ。ならよかった」

 ……久しぶりに会ったけど、やっぱり可愛いなぁ。