「莉乃、教室まで案内するね」

 そう言って、優しく笑みを向ける。

「あ、ありがとう!」

 元気に、可愛くお礼を言ってくれた莉乃。

 こう変装したあとで尚、可愛い顔をする……。

「ふふっ、雅くんと登校、楽しい」

 嬉しい……。

「じゃあ明日も一緒に来ようか?」

 そんな言葉についそう言ってしまった。

「いいの?」

「もちろんだよ」

 むしろ、ありがたい。

「ありがとう!!!」

 勢いでギュッと抱きついてきた莉乃に対して、ドキッともしたが、寂しさもあった。

 だって、これは兄弟としてだ。

 決して、恋愛感情がある訳ではない……。