「そう……ごめんなさいね、もう帰るわ」

「えっ!あっ……でもうつさない方がいいね、バイバイ!お熱、下がったらまたきてね!」

「え、ええ……さすが神坂財閥ね……私の家よりもあるわっ……」

「あははっ……いつか、朧ちゃんのお屋敷にも行きたいな」

「ふふっ、そうね。頑張るわ」

「うん!」

 朧ちゃんの、ご家庭のことは聞いた。

 お母さんもお父さんも、厳しい人で……自分は、お金儲けの道具って言ってた……。

 ……正直、そんなことないよ!とは言えなかった。それぞれ複雑なことだっていっぱいある。

 でも、1つだけ。『朧ちゃんは、私の大切な親友だよ』そういえば、朧ちゃんの頬が濡れた。

 私は、泣かせてしまったのかとオロオロしていたけれど、朧ちゃんは嬉しそうにしていた。

 なーんて。いまはいいか。

「じゃあ、バイバイありがとうね」

「ううん!こちらこそ、ありがとう!バイバイ〜」

 ドアが閉まり、寂しさを少し感じてしまった。