もし私だけが家を出れた時は、弟の月が可哀想。 だから家出はしない。 だけど……婚約者が決まってるなんて嫌。 恋もしたことなんてないし、友達だってお金で雇われただけの所詮はそういう関係の友達だけだったもの。それに、自由に友達を作れなかった。だけど、莉乃とは友達になりたかった……。 だから、秘密で友達になった。 でも、その選択をしてよかったと思う。 いま、ものすごく幸せだもの、莉乃といれて。 「そういえば、空手、やってたのよね?」 「うん!」