───鉄の味。
涎と共に落ちる液。

口の中で湊の指から、ずっと流れている血は、全部私のせい。



それなのに、湊はずっと謝ってる。
私が悪いのに。ずっと、耳元で…。



「………悪い…、」



違う、違うの。
湊は何も悪くない。


謝らなきゃいけないのは、私で───。






「───おい、」






低い声。湊の声でも和の声でもない。
開けられた戸の前で、立っていた人。


恐る恐る顔を上げた。





俺の(・・)お嬢に何してんだ?」





眉間にしわを寄せ、殺気を放つ留華がいた。