噛んだ。 思いっきり。 だけど湊は──、 「ッ…、」 私を離してくれなかった。 自分でも、痛いぐらいに噛んだ。 一瞬耐えるような声を漏らしてたのは湊。 湊がそんな声を出すなんて、よっぽど痛かったんだと思う。 私が悪い。 それなのに…、 「……っ、悪い…お嬢」 どうして、湊が謝るの…? さっきまで、嫌だと暴れていたのに。何かが落ちて穴が開いて止まった。