天然お嬢と双子の番犬さん



「お嬢、約束もう破るの?」



和が言った。

……約束?


「お嬢が離れるなら、僕達はいなくなるよ」

「え!?そんなの嫌だよ!」


和と湊に会えなくなるなんて…さっきもう言わないって言ったのに。どうしてまた言うの?


「じゃあ離れたら駄目だよ、僕達の隣に居て。それから話すのも駄目って言ってたよね?」

「話って……パパと、五十嵐組のみんなは良いって…、」


パパとそれから話してたのは──────、留華だ。


でも留華は五十嵐組だよ?
もう元が付いちゃったけど。

それでも五十嵐組である事には変わりないよ。パパとは今も連絡し合ってる仲みたいだし…私には番号教えてくれないけど!



「…俺等と不知火どっちが大事だ」



どっちなんて…。



「和も湊も留華もパパも、五十嵐組も。みんな大事な人だよ?」



みんな家族で、私の大切な人達。
みんなの事が私にとって宝物。

和の眉間にしわが寄り小さく舌打ちをした。


「……そういうのを聞いてるんじゃないんだよ」

「和?どうしたの?」


和はぎこちない笑顔を作り左右に首を振る。湊は私の手を握り、離さなかった。