好奇心旺盛な少女達の瞳には見慣れない年上の女性がいることに、興味津々のご様子で目配せをしたかと思えば身を乗り出してくる。

「アゼッタの言う通りすっごく素敵な方ですね!イリア様!」

「いっつも私のお姉様が〜!って自慢するのも納得です」

「えっ、あの……」

ここまでくると冷静さはどんどんと欠けていき、少女達の視線に噛みつかれるように肩を縮こませた。

「公の場には中々顔を出さない美貌のお方……一度でいいからお会いしたかったです」

「皆、とりあえず落ち着きなさい。イリア様が困惑で何も言えないじゃない」

ハンナが馬を操るように他の令嬢達を落ち着かせると、わざとらしく咳払いをして見せる。

「驚かしちゃってごめんなさい、イリア様。世間一般のお茶会は優雅なものなんですけれど、私達この場が唯一親の目が届かない場で、硬っ苦しいのとかやってないんです」

「淑女の嗜みとかしてたら、気軽に友達とお喋りなんかできませんの」

「まあ、表向きはみんな優雅なお茶会とか口を揃えて言っているのでしょうけど、中身は私達と変わらないとは思いますけどね」

「そ、そうなんですか……?」

初めて聞く事実に、これまで叩き込まれてきたのはお茶会には不要だったと考えると色々と勿体ない気持ちもある。

それでもこうやってイリアを受け入れてくれたことが何よりも安心感を与えてくれた。