地面に横になる感覚と枕元から伝わってくる温もりが、心地よい。

一定のリズムで肩を撫でられるその感覚がまるで子守唄を奏でられているようで、不思議と体の力が抜けていく。

ーーなんだか……とっても気持ちがいい……。

こんな落ち着いた気持ちになるのはいつぶりだろうと振り返ることも、ままならない。

「ヒュ……リ……」

掠れる声でその名前を呼ぶと、穏やかなその瞳がイリアを映し出す。

もう何も考えなくてもいいから、今はおやすみ。

そう言われたようでイリアの体は素直にその言葉を受け入れた。

本日分の薬作りもまともに出来ていない罪悪感があるというのに、その優しい温もりが全てを包み込むようにイリアを深い深い所へと沈めていく。

沈んでいくその感覚に身を預けたイリアは、重たくなった瞼を遂に閉じた。

体の疲れも何もかも癒してくれるようなその温かさが全身を包み込み、どこか懐かしい感覚にイリアは甘えるように頬を擦り付けた。

ヴァイルの澄んだ鳴き声がやけに遠くで聞こえたかと思えば、全てを手放すように眠りについた。