「大丈夫よジュナ!子供たちに貴方の飛ぶ姿を絶対見せてあげるから!」

使えそうな物品を一通り村や森で集め、工程を次々と進めていきつつ、ジュナという新しいドラゴンの研究データもこっそりとかき集めていく。

物凄い速さで設計図通りの物を試行錯誤していると、ドラゴンの知識があるヒューリの知恵も加わりその作業の速さは一段と増した。

力仕事はヒューリに任せ、細かい作業や職人技は村の人々に手伝ってもらうなどして、イリアが設計した通りの物が出来上がると、早速ジュナの翼に取り付けた。

風を掴みやすいようにジュナの皮膜と似たような布生地を選び、翼に固定する部分も痛くならないように保護材を当てられるように作り込んだ。

付けた最初は違和感があったようだったが、翼を広げてゆっくりと羽ばたくとジュナの周りに風が巻き起こる。その風はジュナを高揚させ、そして地面から僅かではあるが体が浮いた。

「やった!!」

「浮いたぞ!ジュナ!」

飛べなくなったはずの自分の翼が今正に元に戻ったと、興奮した様子でジュナは何度も何度もその場で回りながら翼を見つめた。

そんなジュナの喜びようは二人にも移り、イリアはヒューリの胸に飛び込んでその嬉しさを彼にぶつけた。突然飛び込んできた彼女を慌てて受け止めたが、勢い余ってそのまま二人で地面に座り込む。

その拍子に地面に咲いていた野花の花びらが風に舞う。

「やったよ!ヒューリ!!」

「本当にイリアは女神だな」

「そんなことないよ。ただ、ドラゴンの実験に夢中になっていた結果がこうなっただけ」

時を忘れるような幸せな一時がこの結果に繋がったのだと、首を横に振る。好きな物がこうして結果を残してくれるのが楽しくてしょうがないのだ。

父もこうして追求して何かを掴み取った時は子供のようにはしゃいでいたと思い出し小さく笑ってヒューリの顔を見上げた。