ーー私がもう少し早くこの地で研究出来ていれば、この子は今も飛べていたはずなのに。

やるせない気持ちが胸いっぱいに広がる中、後ろからヒューリが彼女の頭を優しく撫でた。

「イリアには感謝しきれないぐらい俺達は救われてる。だからどうか自分を責めないでほしい」

ジュナも同意見だと言わんばかりに抱きつくイリアに擦り寄った。

二人の優しさを胸に仕舞い込みながら、そっとジュナから離れ今度はしっかりと傷を負った翼を見上げた。

皮膜から壊死は侵食していったようで、部分的に皮膜が破られている。それ以外は特に外傷は見当たらず、とりあえず一安心だ。

羽ばたく際に皮膜が上手く風を捉えられなければ、空へ飛ぶことは難しい。この翼を治す治療薬を発見するのにもかなりの時間が掛かることは明白だった。

なら、どうすればこのドラゴンは再び空を飛ぶことができるのか。

ーー補うための翼を取り付ければいい!

瞬時に思いついたことを頭の中から吐き出したくて、勢いよく小屋の中に戻って紙に書き起こしていく。

設計図はロットがよく書いていたのを見様見真似で書いたものが複数あり、そこからイリアも何品か物を作り出したことはあった。

ただドラゴンの翼に装着するものなど想像することは難しいが、ドラゴンの研究に夢中になっていたイリアには容易に設計図を描くことは可能だった。

出来上がった設計図を元にジュナの翼の大きさを測り、ジュナに向かって親指を立てた。