その後も薬を使った実験だけでなく、ヴァイルにこれでもかと言う程に身体のあちこちを触り、スケッチし見た情報も触った情報も全て書き留めていった。

そんな見慣れない光景に興味をそそられたのか、空を優雅に飛んでいた他のドラゴン達もイリアの周りに集まってその身を差し出した。

気づけば十頭近くのドラゴンがイリアにされるがままの状態で小屋の周りはドラゴンまみれになっていた。

「ヒューリ!聞いて!ドラゴンの鱗の流れって個体によって違うみたい!これも魔力が何か影響を与えているのかしら!!」

「へえ!それは知らなかった」

姿形は似てはいるものの背鰭の個数や形、鱗の質感などドラゴンによって様々だ。

協力してくれたドラゴン達にお礼の意味も込めて、ドラゴンが触られて一番気持ちがいいと思われる顎を撫でてやった。

満足したのか空へと飛び立つドラゴン達を見送り、再びメモを整理する。

「姿形に個体差はある、けれども薬の効果は一定と。今日でここまでの解答を得られたのは大きいわ」

「すごい集中力だね、イリア」

「楽しいからね。夢中になれる物があるって本当に素晴らしい事だと思わない?好きなものって自分に幸福を与えてくれるんだもの」

メモをまとめ終えたノートをヒューリに見せながら、得意げに話すと彼は一つ笑ってイリアの顔を見つめた。

「俺はそうやって、夢中になって楽しそうにしているイリアを眺めるのが好きになったよ」

「へっ?!」

急な発言に声をひっくり返して驚くと、からかうように顔を近づけて来たヒューリだったが堪えきれなくなったのかくつくつと笑う。