ーーなるほど、今日は縁談する日なのね。デイバート家……確か鉱石関連の物資輸送で名前が通っていたはず。港町に商会をいくつか兼ね揃えていたわよね?なら、今回は話が少しは弾むかしら……!

支度が整ったと侍女が声をかけ、即座に考えるのをやめて鏡に映る自分の姿を見てイリアは少々苦笑いを浮かべた。若葉を思い浮かべるような淡いライムグリーンのドレスは、やや肌が露出するような形に。

気合いの入ったこの格好は、まさに男を狩りに行ってこいとエリーに言われているようだった。今回も当然、イリアなりには頑張ってみるつもりだが、結果はどうなるか分からない。

イリアは支度を整えてくれた侍女達に礼を言いながら言われた通り応接間へと向かうと、もう間もなくユインがこの部屋へと到着すると侍女が伝達しに来るや否や、先に応接間で待っていたエリーが慌ててイリアをソファーに座らせた。

「貴女も、もう十八になるの。そろそろ先の未来の事を考えて。いい嫁ぎ先を捕まえて置かないと……後々、泣く羽目になるからね」

「は、はい」

人差し指を鼻先ギリギリに突きつけられながら、エリーの言葉を聞いていると扉が叩かれる。裏口からエリーはそそくさと退室し、全てをイリアに託していった。