イリア自身も中途半端が嫌いな性格で今自分の中にある両方をこなしたい、その思いでエリーを真っ直ぐに見据える。

「伯母様……私、必ずや嫁ぎ先を見つけます。今月のお茶会、私も参加してもいいでしょうか」

ずっと避けて歩いてきたお茶会は、貴族令嬢達が集まって横の広がりを繋げていく場もあり、どこの嫁ぎ先が空いているかの情報収集ができる場でもある。

お茶会をするくらいだったら研究に時間を費やしたいと、理由を付けて毎回の事ながらイリアは何年も欠席し続けていた。

ーーもう迷惑かけずにちゃんと自分で道を作らなきゃ、どっちも上手くいかない気がする。

養子として迎え入れてくれた感謝の気持ちも込めてちゃんとした嫁ぎ先を見つけ、そしてネグルヴァルトやドラゴンの研究をして誰かの役に立つ。それがイリアのやらなければならないことだった。

突然の申し出に少しの間を空け、エリーは何か口を挟もうかと口を開いたがすぐさま閉ざし一つ息をついた。

「いいわ。でもその代わり、ちゃんと貴族としての知識を身につけてからにしてちょうだい」

「ありがとうございます!伯母様!」

大袈裟なまでに喜ぶその姿にやれやれとした表情を見せたエリーだったが、どこかその表情の中に安堵が浮かぶ。

そうこうしていると侍女頭がやって来てくると、エリーの表情はすぐさま仕事をする顔へと切り替わる。

「今月の会場は確か……ソルジャー家で開かれるはず。イリア、ソルジャー家宛に取り急ぎお茶会に参加したい旨を手紙に書いてきてちょうだい。私は仕事に戻るわ」

「お時間ありがとうございました」

邪魔にならないようにそそくさと再び廊下へと出ると、軽い足取りで自室へと戻る。まさかこんなにあっさりと要望が通るとは思わなかったのだ。