侍女にされるがまま言われるがまま、寝る支度を整えながらイリアはナリダムの言葉を頭の中で何度も繰り返していた。

ーードラゴンはこの世のどこかに存在する……そんな事が、本当に?

月明かりに照らされた暗い部屋の中、ベッドに潜り込んだイリアは真っ直ぐに天井を見つめながら考えていた。

幼い頃から、この世にある物を見て触って研究してそれを繋げていくのがイリアのやり方だった。もちろん、父のロットも同じだった。ただナリダムは言った、ドラゴンがいることについて語られたと。

非現実的なことは研究しても何も生まれないと言っていた、あの父だというのに相反することを発言したのだろうか。モヤモヤが積もる中、イリアは一つの答えを導き出した。

「私がいるかどうかの確認をすればいい、それだけよね」

そう呟くと勢いよくベッドから起き上がり、着ていた寝巻きを脱ぎ始めた。

エリーが見たら青ざめて気絶してもおかしくないシンプルなズボンスタイルに、街の古着屋で見つけた動きやすさ重視のシャツに袖を通し革靴に履き替える。そしていつも通りクローゼットの天井の壁を外し使い古した大きめの鞄を手に取った。