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そんなある日のことだった。
「雪積もったね~!」
冬休み前日の、2学期最後の日。1年に1度か2度くらいしか雪が降らないこの場所で、珍しく積もるくらいの雪が降った。
友達とはしゃぎながら、教室の窓の外を見る。結露でぼやけた窓の向こうには、白い世界が広がっている。雪はもうすぐ止みそうだ。
「この寒い中帰るの嫌になっちゃうね」
なんて喋りながら、帰りの支度をしていた時。
「三橋さん、一緒に海を見に行きませんか」
金曜日じゃないのに、珍しく教室で話しかけてくれた藤沢くん。
「え……」
「雪の海、見たくない?」
「……見たい」
気付いたら頷いていた。
さっきまで家に帰るだけの道ですら、寒くて嫌だと思っていたのに。藤沢くんと雪の海、見たい。



