「なに?」
「……恋に落ちる音って、どんな音だと思う?」
毎週金曜日だけ読んでいたこの少女漫画も、もう10巻になった。恋に落ちる音がした、ってモノローグに、首をひねる。
キュン、なのか。ドキ、なのか。それとも全く違う音なのか。
ふと疑問に思って聞いてみたら、藤沢くんは「んー、」と考えこんだ。
思ったよりも真剣に考えてくれたことが、すこし意外だった。
「……音はしないと思う」
帰ってきた言葉に、え?と聞き返す。
「恋って、雪みたいに静かに降って、いつのまにか身動き取れないくらいまで積もってるものだと思うから」
その言葉が、すとんと胸に落ちた。なるほど、そうなのか。



