「っ……藤沢くん、私、」
すき、と発音しようとした私の言葉を、藤沢くんが遮った。
──やわらかい、きみの唇で。
驚いて目を丸くしたら、照れくさそうに笑う藤沢くんがいた。
「言わないで、その先は」
「え……」
「あと2年は戻ってこない。そんな僕を待たなくていいよ」
離れた唇に触れた空気が、急に冷たい。
頬をつたう涙が、凍ってしまいそうだ。
「やだ、」
「……三橋さんには、幸せになってほしいから。きっとすぐ忘れるよ、たった4ヶ月の出来事なんて」
どうしてそんなこと言うんだろう。
……わかってるよ。高校生同士の遠距離恋愛が、簡単じゃないことくらい。なかなか会えないことが、恋を終わらせる理由になってしまうことくらい。
だけど、それでも、一生きみの隣にいるって夢みたいなこと信じてるわけじゃないけど。



