「親の仕事の都合で。だからもう、3学期から学校来ないんだ」
「う、そ」
だってそんな話、はじめて聞いた。
じゃあ今日が藤沢くんの最後の登校日だったってこと?
「誰にも言ってないんだ、先生にも口止めしてる。見送られるのとか、苦手だし」
藤沢くんは、まだこっちを見ない。
ふわふわした髪が、急に吹いた風に揺れた。
「……でも、」
「昔から転校すること多かったし、慣れてるんだ。……でもなんか、三橋さんには知っててほしかった」
やっと振り向いた藤沢くんは、綺麗な顔してた。いつもと変わらない、優しい顔。
「ふじさわ、くん」



