【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 ルネリアは異変を感じ、窓から身を乗り出すようにして赤い人影を見つめる。するとその人影はルネリアの予想通りグレンのものであった。

 しかし、城のほうへと向かいながら少しずつそれるように歩いていくグレンは、朝、どこかへ出発した時の姿ではなく、真っ赤な麻袋を持ち、その腕や足すら赤く染められている。ルネリアはそれに気付くと、すぐさま部屋を飛び出し、グレンの元へと足を急いだ。

 ルネリアが城の扉をすり抜けるように飛び出すと、グレンは城の裏手、大きな蔵のそばで袋を引きずるようにして歩いていた。グレンの歩いてきたであろう道筋には、赤い血痕のようなものが点々と続いており、その赤を見るたびに彼女の脳裏に不安が過っていった。その不安は、グレンから漂う鉄の匂いによって的中した。

「グレン様!」
「ルネリア……」

 ルネリアの声に、グレンは驚いたように振り返る。その頬は血に染まり、袋を掴む手の平からは、溢れるように赤い血が滴っていた。