(これから朝と晩、仕事が始まる前と終わる前に、鍛錬をするとか?)
そう考えて、ルネリアははっとした。グレンはこの国境を守る使命を国から授かっている。とするならば、きっとグレンは自分自身を鍛え上げているのだろう。グレンは、鍛え上げた逞しい体躯を持っている。そんなグレンからしたら、自分のような人間は非力で何も出来ないように見えるのかもしれない。そうルネリアは思い立った。
(でも、どうやって証明しよう……。やっぱり仕事ぶりを見て、認めてもらうしか……)
ルネリアの思考は、まるで円を描くように最初に戻っていく。そうして、やや俯きがちにグレンの部屋を見渡していると、門のほうから何やら赤い人影が大きな袋を下げた人間が屋敷へ歩く様子がルネリアの視界に入った。
(なんだろう。背格好はグレン様だ。でも今日グレン様は、いつも通り黒のコートを羽織って出かけていったはず。それにいつもよりお帰りが早いような……)



