「何をしている。寝ろ。睡眠を取れ。寝不足を舐めるな」
すでに夜着ではなく着替え終えたグレンが、眉間に皺を寄せながらルネリアを見ていた。
「何故着替えている」
「あの、鉢に水を……」
「鉢?」
グレンは自分の瞳と同じ色をした、ルネリアの抱える薔薇の鉢を視界に入れた。驚いた様子で、グレンは問いかける。
「それはどうした」
「えっと、前に住んでいた場所で、育てていたものを持ってきていて……」
ルネリアは、鉢植えと生活することが当たり前だった。鉢自体も彼女の両の掌に収まるほどの大きさで、屋敷を出た今、その鉢は傍にあって当然の、意識すらしないものであった。



