ルネリアは悩みながら、視線を鞄の方へと向ける。そして鞄の中にしまったあるものに気が付いた。
(そうだ。鉢……! 水をあげないと……!)
ルネリアは素早く鞄を開き、鞄に入れていた麻袋を開いて中身を確認する。そこには小さな赤い薔薇が咲いた鉢植えが入っていた。
その鉢は、彼女が裏庭で育てていたもので、こっそりと鉢に植え替え屋敷から持ってきたのだった。紹介所で生活しているときも毎日水をやり、丁寧に世話をしていたことで花は枯れず、馬車での移動中も土が乾かない程度に水筒で水を与え続けていたことで、花は今なお深紅をその身に纏い、生き生きと花を開いている。
そっと鉢を手に取ったルネリアはドアノブに手をかける。そのまま部屋を出ようとすると、同時に隣の部屋が開いた。



