伊鳥ちゃんが倒れてしまって、慌てて俺が受け止めた。


熱い……


とっさに受け止めた身体は熱くて……多分熱があるなって思った。


どうするか……


このまま俺の部屋で看病するって方法もあるけど、それだと家の人が心配するよな。


……しょうがない。


家に連れて帰ろう。


伊鳥ちゃんをおんぶして、伊鳥ちゃんの家へと向かった。


この光景はやっぱり目立つらしく、妙に見られていた。


変質者に見られてはないと思うけど。


「あ、神崎!」


そう声かけてきたのは、大学の友達だった。


「何?」


「相変わらず冷めた反応だな。それにしても、何だよ?その子」


「熱が出てるから、この子の家に送り届けようとしてるだけだけど」


「へー、珍しいよな。女の子なのに。しかも、その子めっちゃ可愛くないか!」


俺が女を抱いてるのが珍しいのか、女に飢えてるのか、覗きこんできた。


そのことに自分でも分からない感情に飲み込まれる。


「あんま近づくなよ。起きるだろ」


伊鳥ちゃんと距離が近くなるのが嫌で、伊鳥ちゃんから遠ざけた。


ほぼ無意識だった。


「やっぱ珍しい。なぁ、その子の家どこ?俺が送ってやるよ。お前、女嫌いだろ?」