次の日の朝、何故か神崎君に声をかけられた。


「琴月!」


「神崎君」


にこにこ笑っていて、いつも通り明るい表情。


こういう人懐っこいところが男女問わず好かれる秘訣なのかな。


神崎君を見ながら、そう思った。


「どうしたの?」


「そういえば、俺昨日自己紹介してなかったなって思って。俺、神崎太陽!よろしく、琴月!」


わざわざ自己紹介なんてしなくてよかったのに。


神崎君は有名人だから、多分この学校で知らない人はいない。


イケメンだからやっぱりモテるし、女の子達が毎日騒いでるから。


性格いいし、律儀なんだな……


「知ってるみたいだけど、私も自己紹介しておくね?私は、琴月伊鳥。こちらこそ、よろしくね。神崎君」


「あぁ!」


手を差し出されて、握手を交わす。


途端に私達に集まる視線。


当然かな。


こんな有名でモテる人と握手を交わしてるんだから。


「琴月さんと神崎君、付き合ってるの?」


「うわー、だったらショック」


「私すら握手したことないのに」


コソコソ話してるけど、全て丸聞こえ。


こういうのってちょっと面倒くさいよね。