不安になったから、それは言わず初めて自分から求めてみた。


きっと後から思い返して恥ずかしくなると思うけど、言って後悔はしてない。


「はぁ、可愛いことを……俺、もう限界。伊鳥、目閉じて」


言われた通りに目を閉じると、唇が重なった。


永遠とも思えるような幸せな時間。


唇が離れると、むしろもの寂しく感じた。


そんな風に思ったことが顔に出ていたからか、もう1度優しくキスをされた。


そこで思考が戻る。


うぅ、恥ずかしい……


そういう思考になってたことも、物足りなさそうな顔をきっとしていたことも。


大胆になれるのは、少しの間だけ。


「ふっ、さっきまであんなにねだってたのに」


「い、言わないでください」


こういう時の輝楽さんはだいたい意地悪。


口角が意地悪く上がってるから。


「なんか俺の方が物足りなくなってきた」


ポツリと呟かれた言葉に体温が上がった。


「伊鳥、おいで」


恥ずかしかったはずなのに、そんなのを忘れてまるで操られてるみたいに輝楽さんの方へ。


両手を広げてる輝楽さんの胸に飛び込んだ。


「はぁ、癒される」


ぎゅっと強く私を抱きしめて。


心拍数がドキドキと異常なくらい高鳴った。


それでも、安心感はあって。


トクントクンと輝楽さんの私と同じくらい速い心拍数を聞いて、クスッと笑った。


輝楽さんもなんだかんだドキドキしてくれてるんだ……


そう思ったら、嬉しくて……


今日あれほど嫉妬で荒れ狂ってた心もすっかり綺麗に潤っていた。