もしかして、知ってるのかな?


咲が転校してきたこと。


「由香ちゃんは……」


「知ってるわよ!なんか今日ずっと嫌な予感してて、噂で聞いてもしかしてと思ったから」


なるほど、そういうことなんだ。


勘が鋭いよね。


「大丈夫だよ。何もされてないから」


「何かされたら言ってよ?」


「うん。ありがとう」


チラッと咲を見たら、咲もこっちを見ていて。


その目に苛立ちともう1つ何かが含まれていた。


その相手は私なんだろうけど……まだ私のことよく思ってないんだ。


もうあの時みたいに周りが見えてないわけじゃないと思うけど……


やっぱり、悲しい気持ちになってしまう。


もうあの時みたいに戻ることはできないのかな……?


そう思ったけど、すぐにもう無理かって思い直した。


全て私のせいなのに、もう1度仲良くなりたいとかどうかしてるよね。


切ない気持ちが溢れてきて、自分で自嘲気味に笑う。


元の関係に戻ることはできないんだから、もう諦めなきゃ……


「伊鳥、あいつと親友に戻りたいって思ってるの?」 


そう思ってた時に由香ちゃんが不満そうな顔でそう言った。


「ううん、もう思ってないよ。元より私のせいだから」   


「はぁ!?んな分けないでしょ!伊鳥は変に思い込みすぎなのよ!あいつの方が悪いに決まってるわ!」


由香ちゃんは敵意むき出しで咲を睨んでいて、私は苦笑いを浮かべることしかできなかった。