思えば、その可能性もある。


今朝はそんなこと考えてもいなかったけど……


完全にあの人のせいってわけでもないのかもしれない。


「伊鳥のそういうとこ、歯がゆくなるわ」


なんて言った私に由香ちゃんははぁとため息をついた。


歯がゆくなるって……


「はぁ。それにしても、やっぱり伊鳥って……」


そこまで言って、由香ちゃんは口をつぐんだ。


「やっぱり言うのやめるわ。私までダメージ受けそう」


その言葉はよく分からなかったけど、止めてくれて助かった。


「まぁ、また交換してもらえばいいんじゃない?しようって言ったら、喜んですると思うわよ」


「そうかな?なんかしたくないって言われそうだけど。ほら、輝楽さんって女嫌いだし」


「だったら、始めから交換なんてしないわ。大丈夫。伊鳥は、多分特別な存在よ。輝楽先輩にとって」


特別な存在……


そうなのかな?


輝楽さんが私に慣れてきていることは確かな気がするけど……


私の他にもいる気がする。


例えば、シオリさんとか……


きゅっと胸が苦しくなった。


最近思い出してばっかりだ。


この名前を思い浮かべてはいつも……


「あの、玉城先輩!」


声がしてその方向に目を向けると、顔が少し赤い男の子がいた。