あの、まごうことなき怒り。
私を冷たい目で見下ろす彼が脳裏に焼きついて、何度も繰り返し流れる。
「あー、えっとお。もしかして弥白の彼女?」
金髪の人が隣の部屋を気にしながら小声で言い、私は首を横に振った。
「違う、そんなんじゃない……」
「え、違うの?」
「うん」
「そう!じゃあさ、俺と……」
前のめりになって私に話しかけてくる金髪のお兄さんだったが
唐突にぐいっと後ろへ引きずられ、うぐっと呻いた。
「僕、言ったよね、変なことするなって」
「げっ」
被せるように声を挟んだのは、救急箱を持った常木さんだった。
加えてさっきよりも不機嫌な顔で立っている。
「いや、まだ変なこと何にもしてないじゃん!」
「しようとしてたんだな」
「い、いえ〜。あとは、ごゆっくり〜」
金髪の男の人は汗をタラタラ流し、逃げるように部屋を出て行った。



