妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~




そういうことではないのだ、と言えばいいものを怒ってしまった常木さんを私はポーっと凝視した。



まるで言葉が出てこないし、返す言葉もない。




会わないと決めたのなら徹底的に守るべきだった。

我慢できなくて会いに来るくらいなら最初っから直接聞けばよかったのだ。




もらった連絡先をほったらかしにして、神社にも行かない。




常木さんは待っていてくれたのに……



そりゃあ怒ってしまうのも無理ない。




そんなことを逡巡していると常木さんは狐面をつけて立ち上がった。



座っている私を見下ろすその目は、今まで向けられたことのない類の鋭い視線だった。




「今日は会えてよかったです。それでは失礼します」


「……っあ」



引き止める間もなく、常木さんは石段を降りて行った。