彼女はいかにも今どきの女子高生といった風貌で、髪が長く、耳にかける仕草が印象的だった。





そういえば、彼女は「羽があったら飛んでいた」と言っていた。



羽がないから飛べないね、と。





僕にはどうも彼女の背中に自由に飛びまわるための、無垢な白い羽が生えているように見えた。




そしてふと「自由の翼」という言葉が脳裏に浮び、初対面だというのに彼女は僕の心を颯爽と奪い去っていった。







屋上であんなことを叫んでいたくらいだから、なにかあったのだろうことは容易に想像できた。





けれども彼女の楽観っぷりからするに、それほど切羽詰まった状況ではなさそうで、





そして、それは僕が口出しすることではない。





部外者なのだから話してくれたのならまだしも、そうじゃないのなら僕は見守るくらいしか出来ない、そう思った。