「ツネキ……。並べ替えるとキツネさんだね。なんだ、あとちょっとだったじゃん惜しかった」
まあ、そんなことはどうでもいいか。
「えっと……ところで、ここで何を?」
「僕はあれに用があって」
キツネさんこと常木さんは、屋上にある小さい神社の鳥居を指さした。
「鳥居に?」
「そうです、僕は妖守と言ってね、
月に一度ここの神社に妖がいたずらしないように見張る役目をしています。
この地域に伝わる伝統みたいなもんですね」
「あ、それおばあちゃんから聞いたことある!
でも、聞いたのもだいぶ昔だから、あんまり詳しいことは知らないんだけどさ。
そうかあ、あなたが妖守かあ、この世に生を受けて初めてお会いしましたなあ」
どうもどうも、とどちらともなく握手を交わす。



