妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~



「そうだったわ、おばあちゃんそういう人だった」



 私は早く帰って、おばあちゃんに会いたくなった。そういう干渉しすぎないおばあちゃんの優しさが私は大好きなのだ。





そこでふと小学校の時の記憶がよみがえってきた、友達と喧嘩をして半べそをかいておばあちゃんに泣きついた日のことだ。




あの時のおばあちゃんも、常木さんから聞いたおばあちゃんとの話と差異はなく、





泣きついた私に和菓子を差し出し、ただ一言だけ言葉を残した。





『人と人は一定の距離感が大事なの、近すぎて見えないことも、少し離れてみたら全容が分かるでしょう』






小学生の私には少しばかり難しい説明だとも思うが、


今から思えば、冷静になって物事を見るように教えてくれたのだろう。





また、おばあちゃんと幼き常木さんに置き換えれば、


一定の距離感というのは、絶対そこにあるという信頼、安心があるということだろうか。





同じ場所で待つおばあちゃんとぐるっと回って帰ってくる幼き日の常木さんは「一定の距離感」であると。




まるで太陽の周りをまわる地球のようだと私は思った。