そう言われれば、何も言えなかった。
空き教室。点灯のスイッチを握ったまま、ついさっき聞いた常木さんの言葉を思い出していた。
真っ暗な部屋の中、机に突っ伏しながら考えていた。
常木さんは「そんなに年は離れていない」と言っていたけれど、やっぱり私と常木さんとじゃ……。
私が今まで感じていた歳の差は、彼と私の考え方の深さの違い。
優劣か………意識したことなかった。
そりゃ、色々あったけれど丸く収まったねと、簡単にはいかない時だってあるわけで。
今まで運が良かったにすぎない。
いつかは私にも訪れるだろう、得るものと引き換えに失わなければならないことが。
その時は正しく選べる?
その時はちゃんと常木さんがそばにいてくれる?
月明かりに照らされながら意識が沈んでいくのを感じた。



